こどもの歯列矯正治療例
治療例は、患者さんおよび保護者の
同意を得て掲載しています。
3歳7か月の女子
受け口を歯列矯正用咬合誘導装置「プレオルソ」で治療した症例

主訴 | 前歯が反対咬みになっている。 |
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診断名 | 歯性反対咬合(しせいはんたいこうごう) |
治療に用いた装置 | 歯列矯正用咬合誘導装置「プレオルソ」 |
上下の前歯が反対咬み(受け口)になっているとのことで来院されました。診査したところ骨格的な問題はなく、上の前歯が内側に入っているタイプの受け口であることがわかりました。ご家族や親戚には受け口の方は一人もいないとのことでした。お母様は「一日でも早く治してあげたい。」と強く希望されていました。そこで3歳児以降に使用可能な、歯列矯正用咬合誘導装置「プレオルソ」を、睡眠時を中心に使用することになりました。この装置を使用することで、頬、唇、舌などの「口腔周囲筋」の力や位置などの状態を整え、口腔内を正常な状態に近づけることができます。
最初の1週間はなかなか使ってくれず、寝ている間に無意識に外してしまうことも多かったとのことですがだんだん使用時間が長くなり、1か月経過時にはとても上手に使えるようになっていました。月に1回当院に受診してもらい、毎回使用状況の確認と装置の調整を行いました。口腔周囲の筋肉の力や舌の位置が改善し、4か月後には上の前歯が前方に出てきて受け口は解消しました。受け口が解消したころには装置を装着するのが当たり前の状態になっていたので、口腔周囲筋のトレーニングのためさらにあと半年使用を継続し、その後は経過観察しています。このように骨格的な問題の少ない(上の前歯が内側に入っているタイプの)受け口の場合、簡単な装置で比較的短期間で受け口が治ることがあります。受け口の状態は、放っておくと下あごの成長が促され、骨格的な問題に発展してしまうこともありますので、早めに治しておいた方がよいと考えられます。
- 当院はできる限り「非抜歯」の治療を心がけており抜歯治療は最終手段と考えていますが、状況により抜歯矯正になることがあります。治療後の状態を予測し、どうしても抜歯が必要な場合は抜歯治療のメリット・デメリットをご説明いたします。最終的にはご本人やご両親のご希望を加味した上で判断いたします。
矯正に伴うリスクについて見る
- 矯正に伴うリスクについて
- 最初は矯正装置による不快感、痛み等があります。数日間~1、2 週間で慣れることが多いです。
歯の動き方には個人差があります。そのため、予想された治療期間が延長する可能性があります。
装置の使用状況、顎間ゴムの使用状況、定期的な通院等、矯正治療には患者さんの協力が非常に重 要であり、それらが治療結果や治療期間に影響します。
治療中は、装置が付いているため歯が磨きにくくなります。むし歯や歯周病のリスクが高まります ので、丁寧に磨いたり、定期的なメンテナンスを受けたりすることが重要です。また、歯が動くと 隠れていたむし歯が見えるようになることもあります。
歯を動かすことにより歯根が吸収して短くなることがあります。また、歯ぐきがやせて下がること があります。
ごくまれに歯が骨と癒着していて歯が動かないことがあります。
ごくまれに歯を動かすことで神経が障害を受けて壊死することがあります。
治療途中に金属等のアレルギー症状が出ることがあります。
治療中に「顎関節で音が鳴る、あごが痛い、口が開けにくい」などの顎関節症状が出ることがあります。
様々な問題により、当初予定した治療計画を変更する可能性があります。
歯の形を修正したり、咬み合わせの微調整を行ったりする可能性があります。
矯正装置を誤飲する可能性があります。
装置を外す時に、エナメル質に微小な亀裂が入る可能性や、かぶせ物(補綴物)の一部が破損する 可能性があります。
装置が外れた後、保定装置を指示通り使用しないと後戻りが生じる可能性が高くなります。
装置が外れた後、現在の咬み合わせに合った状態のかぶせ物(補綴物)やむし歯の治療(修復物) などをやりなおす可能性があります。
あごの成長発育によりかみ合わせや歯並びが変化する可能性があります。
治療後に親知らずが生えて、凸凹が生じる可能性があります。加齢や歯周病等により歯を支えてい る骨がやせるとかみ合わせや歯並びが変化することがあります。その場合、再治療等が必要になる ことがあります。
矯正歯科治療は、一度始めると元の状態に戻すことは難しくなります。